
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群
さくらクリニック益田では、過敏性腸症候群(IBS)でお悩みの方々へ、専門的かつ丁寧な医療を提供しています。IBSは、腸に炎症や潰瘍などの病気がないにもかかわらず、腹痛やお腹の不快感を伴う便通異常(下痢、便秘、両方)が慢性的に続く病気です。ストレスが症状を悪化させることが多く、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。当院では、患者様一人ひとりの症状と心身の状態に合わせたサポートを通じて、お腹のつらさを和らげ、快適な毎日を送れるようお手伝いいたします。
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome; IBS)は、大腸や小腸に明らかな炎症や潰瘍、腫瘍といった器質的な病気がないにもかかわらず、慢性的な腹痛やお腹の不快感を伴い、便通異常(下痢、便秘、または下痢と便秘の繰り返し)が続く機能性疾患です。日本人の10人に1人がIBSの症状に悩まされていると言われており、特に若い世代に多く見られます。
IBSの症状は、排便によって一時的に改善することが多く、緊張やストレスを感じると悪化しやすいのが特徴です。通勤・通学中や仕事中など、すぐにトイレに行けない状況で症状が出やすいため、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼし、精神的な負担となることも少なくありません。
IBSの症状は、主に便通異常のタイプによって分類されますが、お腹の症状に加えて全身症状や精神症状を伴うこともあります。
下痢型: 突発的な強い腹痛を伴う下痢が頻繁に起こり、通勤・通学中や会議中など、すぐにトイレに行けない状況で不安を感じやすいタイプです。
便がコロコロしたりウサギの糞のようになったりして、すっきり出ない、残便感があるといった症状が慢性的に続くタイプです。腹部の張りや不快感を伴うことが多いです。
下痢と便秘を交互に繰り返すタイプで、最も症状が予測しにくく、日常生活への影響も大きいことがあります。
腹痛、腹部の不快感、お腹の張り(腹部膨満感)、ゴロゴロと鳴る腹鳴などが挙げられます。これらの症状は、排便によって一時的に和らぐことが多いのが特徴です。
その他の症状としては、吐き気、げっぷ、食欲不振といった消化器症状のほか、頭痛、肩こり、めまい、疲労感などの全身症状を伴うこともあります。また、不安、抑うつ、不眠といった精神的な症状を抱える方も少なくありません。これらの症状は、ストレスや緊張によって悪化しやすい傾向があります。
過敏性腸症候群(IBS)の原因は、単一ではなく複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。腸そのものに病変がないにもかかわらず症状が現れるため、「脳腸相関」の異常が深く関与しているとされています。
脳と腸は、自律神経や神経伝達物質、ホルモンなどを介して密接に連携しています。ストレスを感じると脳から腸へ指令が伝わり、腸の動きや感覚に影響を与えることがあります。IBSでは、この脳と腸の情報のやり取りに異常が生じ、腸が過敏な状態になっていると考えられています。
精神的ストレスや身体的ストレスは、自律神経のバランスを乱し、腸の運動や知覚に異常を来す大きな要因となります。過労、睡眠不足、人間関係の悩みなどもIBSの症状を悪化させる引き金となります。
腸の動き(ぜん動運動)が異常に活発になったり、逆に低下したりすることで、下痢や便秘が生じます。また、腸の知覚過敏により、通常の刺激でも痛みや不快感を強く感じやすくなっています。
腸内細菌のバランスの乱れや、軽度の腸管の炎症などもIBSの原因として近年注目されています。過去の感染性胃腸炎がIBSの発症につながるケースも報告されています。
これらの要因が複合的に作用し、IBSの症状が現れると考えられています。
過敏性腸症候群(IBS)の診断は、症状の詳細な問診と、腸に器質的な疾患がないことを確認するための各種検査を組み合わせて行われます。
詳細な問診
患者様から、腹痛や便通異常の症状がいつから、どのような頻度で現れているか、日常生活にどのような影響が出ているかなどを詳しく伺います。症状と排便の関連性、ストレスや食事との関係性なども重要な情報です。国際的な診断基準(Rome IV基準など)に基づき、IBSの症状パターンを評価します。
身体診察と血液検査・便検査
他の消化器疾患(炎症性腸疾患、大腸がん、感染症など)が原因ではないことを確認するため、身体診察や血液検査(炎症反応、貧血の有無など)、便検査(潜血、細菌、寄生虫の有無など)を行います。これらの検査で異常が見られないことがIBS診断の重要なポイントです。
内視鏡検査(大腸カメラなど)
症状によっては、大腸や胃に器質的な病変がないことを確認するために、内視鏡検査(大腸カメラ、胃カメラ)が必要となる場合があります。特に、血便、体重減少、発熱などの「警告症状」がある場合や、ご高齢の方で症状が急に現れた場合には、積極的に行われます。
その他の検査: 必要に応じて、腹部X線検査や超音波検査を行うこともあります。また、精神的なストレスが強く疑われる場合は、心理検査を実施することもあります。
これらの検査で器質的な病変が見つからず、症状が診断基準に合致する場合に、IBSと診断されます。
過敏性腸症候群(IBS)の治療は、症状のタイプや程度、患者様のご希望、そしてストレス要因などを考慮し、薬物療法と非薬物療法(生活習慣の改善、食事療法、精神療法など)を組み合わせて行われます。
まずは、腸への負担を減らし、自律神経のバランスを整えるための生活習慣の見直しが重要です。規則正しい食事時間と内容(高脂肪食、カフェイン、アルコール、香辛料などの刺激物を控える、FODMAP食の検討)、十分な睡眠、適度な運動を取り入れます。また、ストレスが症状を悪化させるため、リラックス法(深呼吸、瞑想など)や趣味など、自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。
セルフケアで症状が改善しない場合や、症状が重く日常生活に支障をきたす場合には、薬物療法を検討します。腹痛には鎮痙薬や鎮痛剤、下痢には止痢薬、便秘には下剤や便を軟らかくする薬を用います。最近では、腸の動きや知覚を直接調整するIBS専用の薬(セロトニン受容体拮抗薬、グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬など)も登場しており、症状のタイプに合わせて選択します。
脳腸相関の異常や、ストレスが深く関与しているIBSでは、心身医学的なアプローチが有効な場合があります。心理療法(認知行動療法など)を通じて、ストレスへの対処法や症状への考え方を変えることで、つらい症状を軽減し、生活の質を高めることを目指します。
さくらクリニック益田では、益田市の皆様が過敏性腸症候群のつらさから解放され、快適な毎日を送れるよう、以下の強みを活かした包括的な医療を提供しています。
「お腹の調子がいつも悪い」「急な腹痛でトイレに駆け込むことが多い」「ストレスでお腹が痛くなる」など、もしお腹の不調でお悩みでしたら、それは過敏性腸症候群かもしれません。一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。適切な診断と治療を行うことで、つらい症状を和らげ、快適な毎日を取り戻すことが可能です。
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